トーネツ株式会社 代表取締役 半田 実
当社は、工場や倉庫内の冷凍・冷蔵設備の施設内レイアウト設計から工事、冷凍・冷蔵ショーケース、空調設備の工事やアフターメンテナンスを行っています。高い技術力を武器に業績は4年連続で右肩上がりです。 |
自社の強みを社員に理解させることが大事
-事業内容と会社の現状について-
当社は、主に工場や倉庫内の空調設備、冷凍・冷蔵設備の施設内レイアウト設計から工事、アフターメンテナンスを行っています。以前は空調分野と冷凍・冷凍分野が半々の割合でしたが、今は9割が冷凍・冷蔵設備関連の仕事となっています。空調分野の工事は配管がフレキシブルになるなど、溶接がいらない作業が増えて参入障壁が低くなったため、より技術力の求められる冷凍・冷凍設備分野にシフトしてきました。
お客様は地場の食品メーカーや食品工場、冷凍冷蔵倉庫がメインですが、最近は特に冷凍冷蔵倉庫関連の取引が増えています。元請け工事会社から下請けで仕事をいただくことが多いのですが、下請け業者の中で設備工事一式を請け負える会社は当社以外にあまりないため、当社への発注がどんどん増えているのです。有り難いことに活動エリアも関東一円に広がってきました。
冷凍冷蔵設備の工事会社は数多くあるものの、小さい会社が多く得意分野も異なるため、元請け側からすると複数社に工事を振り分け、自社で現場監督を行うということになりがちです。一方、当社は元請けと同じスタンスで、現場監督からすべての工事を一式で請け負えるため、任せやすいのです。
当社が、「どんな工事を任されても大丈夫」という技術力を有する会社になれたのは、サービス部門を重視して古くからアフターサービスに注力してきたからです。冷凍・冷蔵設備を扱う現場では、トラブルが起きて商品が冷やせないとなると一大事です。そんなエンドユーザーの緊急事態に対応するために当社では24時間365日体制を取ってきました。緊急メンテナンスは新規の施工などと比べてよっぽど難しく、現場での緊急対応を繰り返すことで社内に高い技術力が養われてきたのです。
とはいえ、24時間365日体制のサービスを確立するのは大変でした。夜間対応できるようにするための組織づくりに加えて、社員のモチベーション管理もしなければなりませんでした。「なぜ、サービス部門だけが夜勤対応しないといけないのか」「なぜ、夜勤のない工事部に配属を変えてくれないのか」といった社員の不満を解消しないといけませんから。不満の解消といっても現実は変えられないので「当社の強みはこのサービス部門なんだ」、「他社がやりたがらないサービスをやっていることが当社の価値なんだ」ということを繰り返し、繰り返し言い続けてきました。ようやく今では社員全体にこの意識が浸透するようになりました。
ベテランの更なるスキルアップを狙って社内教育制度を立上げ
-社員教育や組織づくりについて-
当社では技術力を大事にしてきましたが、これまでメーカー研修に参加する以外はOJTが教育の中心でした。OJTでも技術力の向上は図れていたのですが、当社の技術品質を保つため、さらに技術品質を高めるために昨年から社内教育制度を立ち上げています。ベテラン社員が先生となり、若手に理論や技術を体系立てて指導し、技術を継承していく仕組みです。
これは、若手への技術継承でもあるのですが、実はベテランの意識改革、スキルアップにつなげたいという狙いもありました。ベテランになると大抵のことはこなせてしまうので、なかなかスキルアップのための努力をしなくなりがちです。しかし、この油断が危ない。扱う製品がどんどん進化しますので、常に最先端の技術をキャッチアップしないとあっという間に取り残されてしまいます。
電気系統は日々進化しますし、冷媒ガスも新しいものが出てきたり、流行りが変わります。電気回路図を読み取るスキル、溶接するスキル、冷媒ガスの性質を理解するスキル、などが足りないとトラブルや事故に直結しますので、常にレベルアップが求められます。技術力の向上には終わりがありません。
設備工事の仕事は、建築士ほどスポットライトが当たらず、縁の下の力持ち的な役割が大きいのですが、技術者は本当に高いスキル習得し、技術を磨き続けています。もっともっと注目される仕事になるようにアピールしていきたいですね。
その他、社員教育としては技術力向上以外に社内のコミュニケーションを活性化するための取り組みを行っています。社内木鶏会といって、簡単に言うと、皆で同じ記事を読んで感想を発表し合うというものです。直接的な仕事から離れて、社員それぞれの考え方や価値観を知ることができるので、社員同士の距離感が近くなるという効果があります。
実はこの木鶏会ですが、就業時間中に行うので、取り組み始めて間もないころは仕事優先で人が集まらず、辞めてしまおうかと思った時期もありました。ですが、その時にある社員から「こういうコミュニケーション改善の取り組みこそ、粘り強く続けるべきです」と言われたのです。地味な取り組みですが、価値を感じてくれている社員がいることに気づき、粘り強く継続することを決意し、今に至ります。せっかく一緒に仕事をする仲間ですから、あまりドライではない関係を目指したいですね。
技術力を大事にする価値観が採用に繋がった
-人材採用について-
建設業界や設備業界はどこも同じだと思いますが、当社でも技術者の採用には非常に苦労してきました。それでも地道に採用活動を続けています。最近、採用した方は東北出身で電気工事関連の仕事に従事していた30代前半の男性です。技術者ではあるものの冷凍・冷蔵分野とは畑違いだったのですが、子供を関東圏で育てたいということに加えて、電気以外の高い技術習得もできる会社を探していたとのことで、縁あって採用となりました。
募集広告で技術力の向上にこだわっていることをアピールし続けてきた成果だと思います。畑違いとは言え、技術者に当社が「技術」にこだわりをもっている会社だと感じてもらえたことはとてもうれしかったですね。
また、最近は、たまたま地方出身の方の採用が続いているのですが、仕事全体、特に技術習得に高い意欲を持っている方が多いことを感じています。私も覚えがありますが、新たな技術を習得するのはワクワクするものです。そんなワクワク感を若い人たちに伝えて、技術者を志望する若者を増やしたいですね。そんな思いを持ちながら、継続的に採用活動を続けたいと思います。
-働き方について-
24時間365日体制のサービスを行っている関係で比較的休みを取りにくい会社ではあったのですが、働き方の改善には継続的に取り組んでいます。昨年に年間休日を110日に設定し、振替休日の取得徹底を行って来たことで、週休2日制になりました。
また、昨年、賃金体系を見直しました。基本給を上げ、30時間の固定残業制度を取り入れました。みなし部分を越えた残業代はしっかり支払っていますので、制度改定により残業代が上積みされた形となり、社員にも良かったのではないでしょうか。
とはいえ、固定残業制度を取り入れた本来の目的は、残業時間を30時間以内に抑えることです。生産性を上げるための取り組みを増やしつつ、早期に実現したいと思います。
-今後について-
現在、冷凍・冷蔵設備の工事に関するサービスのネットワークをクラウド上に作ろうということでソフト開発をしています。工事業者にとってもエンドユーザーにとっても便利な仕組みをつくり、ネットワークを全国に広げたいと考えています。ネットワークを通じて、各地域で頑張っている地場の工事会社が仕事をしやすいように、技術を磨きやすいようにして、サービスの地産地消を実現したいですね。
社名 | トーネツ株式会社 |
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事業内容 | 空調設備並びに給排水衛生設備設計施工 冷凍冷蔵、恒温、恒湿装置、超低温装置設計施工 |
代表者 | 代表取締役 半田 実 |
創業・設立 | 1978年6月6日 |
住所 | 千葉市稲毛区天台3-1-34 |
URL | http://www.to-netsu.co.jp |
採用状況 | 中途採用 |
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