女性の働きやすい環境を提供することで戦力UP!

株式会社五常 代表取締役社長 河野 佳介
「日本一小さなゼネコン」として商業施設、物流倉庫、工場を中心とした工事関連サービスを行っている(建築工事事業)他、台車のレンタルや販売など、付加価値の高い台車サービス事業(物流機器事業)を展開しています。

新規事業を立ち上げることをミッションに入社

-事業内容と会社の現状について-
当社はもともと建築工事業として、商業施設や倉庫、工場で修繕工事やリフォームを中心に、幅広い分野の施工サービスを行っています。中でもホームセンターの売場作りには強みがあります。リーマンショックや震災の影響を受け、売上がどんどん下がる中で、新たな新規事業を模索し、現在は、台車のレンタルや販売を主に行う物流機器事業が会社を支える大きな柱となっています。

私は会社の経営が苦しい中、新規事業を立ち上げて経営を立て直すことを目的に6年前に入社したのですが、当時の売上はピーク時の半分を切り、取引先は約10社でその内の1社に売上の95%を依存、社員は職人さんだけというかなり危機的な状況でした。
入社後約1年は、本業の営業担当者として、職人さんと一緒に寝泊りをし、「今のままではまずいので、なんとかしないといけないよね」という話を夜な夜なしていました。振り返ると、この経験が全社員を巻き込んで新しいことに取り組む良いきっかけになったように思います。

事業の新たな柱となる新規事業を立ち上げることをミッションに入社したわけですから、どんどん新しいことにチャレンジしました。もちろんいきなりうまくいくはずもなく失敗続きでしたが。。。
20以上のチャレンジに失敗したでしょうか。良い商材を見つけて販売しようとしたけど売り方がわからず失敗したり、職人の技術を活かして内装工事や、個人向けの工事などの新たな分野に着手したものの、最終的な利益が出せず失敗したり。それでも、今のままでは会社の将来がないということは社員間で共通認識になっていたので、皆、ついてきてくれました。

そしてようやく、本業で関わっていたサービスを少しイノベーションすることで、台車のレンタル事業がヒットし、台車の販売事業につながり、今では、台車のメーカーになるに至りました。現在、この台車関連のサービスは物流機器事業として本業の売上を凌ぐ経営の大きな柱となっています。さらに、この事業により取引先が全国1500社に広がったことで、そのお客様ネットワークから本業の仕事の依頼が次々舞い込むという相乗効果が出ていて、全社売上は私の入社時の約4倍となりました。


-新規事業の成功要因-
この新規事業がうまく立ち上がった要因は大きく3つだと考えています。1つ目は、失敗を恐れず新たなチャレンジをし続けたこと。2つ目が、社員の行動を見てたくさん褒め、会社で働く喜びを感じてもらえたこと。そして、3つ目がいいモノやいいサービスではなく、顧客の悩み解消が新規事業の成功要因と気付けたこと。
また、社員全員が仕事を「自分ごと」に捉え、「変わらないとまずい!」という危機感が社員から言葉ででてきたことが一番大きいですね。

女性活用のために働きやすい環境を徹底的に追求

-人材の採用、人材の活用について-
そんな形で新規事業が軌道に乗り始め、さらに伸ばしていくぞ!となった時に、次の課題となったのが新たな人材の採用でした。そこで考えたのが、女性の活用です。単純に正社員の採用を行う余裕がなかったことが一つの要因ですが、子育てが少し落ち着いて社会復帰を考えている世代の女性をパート採用することにしました。名付けてD-Girls作戦。Dは台車の頭文字です(笑)。

とは言っても、職人ばかりの当社は女性にとって働きやすいとは思えません。そこで、彼女たちが働くにあたってのハードルをすべて取り去り、働きやすいような制度を作ることにしました。
子育てとの両立で生じるストレスを取り去るために、いつ休んでもいい、シフトは自由に組んでいい、朝出社できなくなったら午後出社でもいい、子供の夏休み中は子供を連れてきてもいい、等々かなり自由な勤務体系にしました。
これが当たり、折込広告で多くの応募をいただき6名採用しました。現在はその中の2名が正社員となっています。正社員、パート社員に大きな差はなく、彼女たちの希望する働き方に合わせて雇用形態が変わっただけです。皆が高い意識で物流機器事業部を支えてくれています。社員の希望に合わせて働きやすい制度を作るのがトップの仕事だと感じています。

パート社員の活躍が事業を大きく成長させた

-事業の発展について-
女性を採用したことで、組織や業務に相乗以上に大きなプラスの影響が生じました。まず、職人さんが活気づきました(笑)。事務所に戻ってきても男性しかいないより女性がいた方が華やかでモチベーションが上がりますよね。
さらに、我々の主なお客様は倉庫、工場、物流、商業施設、運送請負などで、商品を買う人も売る人も男性という業界。そんな中、元気な女性が明るい声で対応してくれるということで、お客様から「五常さんは雰囲気いいよね」と言われることが増えてきました。お客様に評価されるともちろん社員は嬉しいわけで、さらにモチベーションが高まるという好循環ができました。

その中で、お問い合せをいただいたお客様に単に商品を販売をするのではなく、お客様の本当に困っていることを聞くことを彼女たちのテーマにしました。そうすると、台車を購入したくて連絡してきたのに、レンタルした方が効率的でコストも下がるといったことが度々生じ、実はお客様の依頼がお客様の課題解決と直結していないということに気づきました。今では、彼女たちは、お客様の課題を解決をするコンサルティング部隊に育っています。そんなことから現在の当社の経営理念は「お客様の悩み解消」、名刺に掲げているスローガンは「台車は売りません」となっています。

彼女たちの成長に当たっては、特に教育的なことは行っていません。仕事の振り返りの場を作ったり、成功要因(どんな悩みを解消できたのか)を理解してもらうことを毎週のミーティングで行っている程度です。
お客様に商品を購入いただくと嬉しいし、ありがとうと言われると嬉しいもの。そんな言葉を聞くとやる気が出て、さらに何かお客様の役に立てないかと考えるわけです。これはどんな研修を行うより、社員のレベルアップ、モチベーションアップに効果的だと思います。
もともと彼女たちは、社会人経験を持っていて優秀なのです。環境さえ整えてあげれば能力が高いので、伸びますし、サービスレベルも上がります。当社規模の会社でも女性社員の活躍が、会社の成長に大きく寄与すると考えています。

-今後について-
初めにお話しましたが、物流機器事業の成長によりお客様が全国1500社以上に増え、そのお客様から工事関連の問合せをいただくようになりました。当社だけではそのご要望にお答えすることができないので、全国に小さな工事に対応できる地元企業のネットワークを作りました。当社は自社を「日本一小さなゼネコン」と称しているのですが、このネットワークをより強固なものにして、お客様の工事に関する様々な悩みを解決していきたいと思います。
また、物流機器事業においても解決してあげたいと思う客様の課題が山ほどあります。それらと一つずつ向き合っていくことでまだまだ事業の幅が広がると考えています。

聞き手:千葉キャリ 種村(写真右)

社名 株式会社五常
事業内容 日本一小さなゼネコン
倉庫・工場・店舗・設計及び建築施工
マテハン什器の設計、製造、販売、レンタル業
屋根掛け・中2階・ラック設置
産業廃棄物の収集運搬業
古物商
代表者 代表取締役社長 河野 佳介
創業・設立 2002年11月18日(創業2002年10月)
住所 千葉県千葉市若葉区高根町1128-4
URL http://www.gojoh.com/
採用状況 新卒採用 中途採用