株式会社ストラクス 代表取締役 山本 克己
当社はオフィスビルや医療機関、官公庁などの老朽化した建物の改修工事などを手掛けています。大手ゼネコンから直接工事の依頼を受け、様々な工事を任されるリニューアルパートナーとして認められているのが強み。売上も25億円を突破し、千葉県で改修工事のエキスパートとして躍進しています。 |
改修工事に特化したメリットは技術者の成長がものすごく早いこと
-事業内容と会社の現状について-
当社はオフィスビルや医療機関、官公庁などの老朽化した建物の改修工事を主に行っています。大手ゼネコンの下請けとして、ビルや商業施設の仕事が順調に増えているほか、千葉市では20社ほどのAランクの指定業者にもなっていて、最近では学校や幼稚園など公共施設の工事の受注も増えています。売上も25億円を超え、順調に成長していますね。
当社の強みは、改修工事分野のエキスパートであること。創業当時から改修工事に特化していますが、改修工事というのは当時は余り重要視されていませんでした。新築工事を行っている中で、改修工事も請け負うという会社が多い状況で、ゼネコンからすると、防水や塗装などそれぞれの分野に強い専門業者に個別に発注する必要がありました。そんな中で当社は、改修工事一式をすべて請け負えるため、ゼネコンにとっては効率が良く、重宝してもらえたのです。
下請けと聞くと業界を知らない方や学生はマイナスのイメージを持つこともあるようですが、下請けにはものすごいメリットがあります。それは全く営業活動をしなくて良いこと。当社のように他社にない強みを確立していると、仕事が次から次へと舞い込みますので、業務効率もよく高い利益率が確保できます。行政の仕事も行っていますが、民間の仕事がメインですので、耐震や老朽化でこの先も底堅い需要が見込めます。よく、下請け脱却を目指す!なんていうと格好良く聞こえますが、当社は逆に下請けのメリットを最大限活用させていただいています。
また、改修工事に特化していることで一番メリットが大きいと思うのが、技術者の成長が早いことです。新築工事ですと、一人の業務範囲が広く、仕事を任せられるようになるまでにものすごく時間がかかります。ですが、改修工事だと、まずは床工事専門として業務をスタートし、すぐに床のエキスパートになれます。床のエキスパートになったら、お客様との打合せを任せられるようになる。やはり、お客様と直接向き合うことが一番の成長につながるし、一番のやりがいにつながります。直接やり取りをして、満足いただくことで自信もつきますから。
そして次は内壁、天井、そして外壁と、専門分野をどんどん広げていくわけです。そうやってとても早いスピードでスキルアップすることができる。改修工事に特化したことで社員が早く成長する環境を作れたことは大きいですね。
実は、私は新築工事も改修工事の延長の方が良い提案ができると思っています。例えば、この壁材は何年後にこんな状態になるので、こういう素材にしたほうが良いといった提案や将来のリニューアルやリノベーションを踏まえて構造はこうした方が良いといった提案ができるからです。だから、建設、建築分野に関心のある若者にとっては、スキルアップの早いとても魅力的な業界だと思います。
仕事のきつい部分もしっかり伝えることで、最近の離職率はほぼゼロ
-人材の採用について-
当社のもう一つの強みは社員が若いことだと思っています。20代の技術者が多く、初めは技術的に足りない部分が多いのですが、素直にお客様の言うことを聞きながら頑張る姿をみて、ゼネコンや職人さんからとても可愛がられることが多い。失敗しても、しょうがないなあと言ってお客様に育ててもらえるんですね。私が言うのも変ですが、お客様にとっても、「こいつを育ててやったんだ」みたいな楽しさを感じてもらえているんではないかと思います。
若い社員が多いのは、10年ほど前から新卒採用に着手したからです。それまでは中途採用がメインで、それはそれでうまくいっていました。仕事のできる人を採用しますから、特に教育や研修をしなくてもすぐに現場に行って仕事をこなしてくれます。そういう点ではとても楽でした。
ですが、現場監督は一つの現場の経営者のようなもの。自分の裁量ですべてが決められますから、力のある人は自分なりのやり方ができていて、わがままなんです(笑)
そうすると、新規の事業を行いたい、新しいことを始めたいと思った時に組織がまとまりません。会社としてこんな方向に進みたいと思っても、理念やビジョンの共有ができないと感じたんです。
そこで、時間はかかるけど経営に対する考え方や思いが共有できる新卒者を採用して育てていこうと決心しました。我々と同じ分野の会社、同じ規模の会社で新卒採用を行っている会社はほとんどありませんでしたので、試行錯誤で最初はかなり苦労しました。
採用活動を始めた頃は、学生に興味を持ってもらおうと、さすがに嘘はつきませんが、仕事の厳しい部分をオブラートに包んで伝えるということをしていた時期もありました。将来像ばかり話をして夢のある会社として一所懸命、学生の興味を掻き立てていたのです。
ですが、入社後に現場の仕事の厳しさに直面し、辞めてしまうということが続きました。ですので、最近では、きつい部分はきつい、楽しい部分は楽しいということをすべてそのまま伝えています。逆にきつい部分をオーバーに伝えるくらいですので、結果、離職率はほぼゼロとなっています。新卒を採用することで、後輩を育てるという文化もでき、会社の組織はかなり良くなりました。
会社の経営理念を理解し、納得していなければその会社で働く意味はない
-社員教育や組織づくりについて-
改修工事というのは、実は建築以外の要素がとても大事になります。スキルだけでなく、周りの第三者に余り迷惑をかけない、安全を重視するといった気配りなど。施主との打合せはもちろん、他のテナントとの打合せも重要で、他のテナントが営業している中での作業などにもなりますから、駐車場がない、エレベータ使えない、音を出せない、匂いを出せない、といった作業条件における制約がものすごく多いのです。その中で工事のバランスを上手く取っていく必要があります。だから、コミュニケーション能力やリーダーシップがとても求められるのです。
そのため、外部の研修なども使ってかなり教育には力を入れてきました。ですが、今まで以上に教育に力を入れていきたいと考え、今年から「人材育成に投資する」ということを宣言し、かなりの予算を投下しています。社員も、自分の研修、教育にこんなに費用を出してもらっているんだと思った方がやる気出ますから、費用の高い研修もどんどん取り入れています。
また、社員教育のベースは、経営理念の浸透だと思っています。会社の経営理念を理解し、納得していなければその会社で働く意味はないというのが私の考え方です。ですから、新入社員は入社後、みっちり経営理念や当社の考え方を伝えることからスタートします。その後、他社との合同研修や若い社員が講師となった社内研修などを行い、3ヶ月は現場に行かず徹底的に講習します。それからは実際に現場に出て鍛えられるという流れですね。
また、組織の団結力、一体感を大事にするために、新入社員には毎年、2泊3日の自衛隊隊内生活体験に参加してもらっています。自衛隊の研修というとびっくりするかもしれませんが、規律の中で基本的な訓練を行い、マナーや協調性を学んだり、同期の間での絆を深めるために行っています。
初めは皆食わず嫌いでビビるのですが、いざ参加すると、参加してよかったという感想が多いですね。同じ釜の飯を食うことを味わったり、ハードなトレーニングを一緒に乗り越える体験や達成感を共有したりすることで強い一体感が生まれます。昔を思い起こす時って、「あの時大変だったけど・・・」と苦しい体験が印象に残っていることが多いですよね。新入社員には一生の付き合いをする仲間になって欲しいと思っているので、この研修を大事にしています。
その他、組織づくりという点では、社員が成長できるように人事評価制度も見直しながらしっかり作っています。会社が望む人材像をステップごとに決めて、半期に一度個人面談を行っています。
人事評価制度に力を入れ始めたきっかけは、ある社員に「当社では将来のビジョンが描けない」と言われたこと。物凄くショックでした。会社のビジョンは常々話していましたが、個人のビジョンとのラップはあまりなかったのが事実です。このままでは上昇志向の人ほど辞めてしまうと思い、会社の成長と自分の成長がしっかりとつながる環境にしようと思ったのです。
先日、5年勤めて家庭の事情でやむなく退職した社員が、送別会で「いい会社に勤められてよかった。自分の成長が明らかに実感できたし、それに伴って会社も成長している」と言ってくれたのは本当に嬉しかったですね。
-社員の働き方について-
仕事量が多く、ものすごく忙しいのは事実です。その中で働き方改革に取り組もうということで3年前から改革に着手しています。まず行ったことは、残業時間を細かく測り、残業代を明確にし、全て支給することにしたこと。それまではみなし残業制でいい加減にしていた部分が正直ありました。当たり前のようですが、残業時間の管理は業界ではまだまだ浸透していないのも事実なのです。
そして、これからこの残業時間をどうやって削減するかの改革に取り組んでいく段階です。中には残業代が多いほうが良いという社員もいますので難しい問題ですが、年明けから社員にアイディアを出してもらいながら、改革を進めていきます。
また、働き方改革には直接つながるかわかりませんが、実は今1名、女性の現場監督がいます。建設業界は男社会ですから女性の現場監督で長く続けられる人はなかなかいません。ですが、建設業界も変わっていかないといけません。逆差別になると逆効果なので会社としてサポートできる部分は少ないのですが、本人は自分の意志でものすごく頑張っているので、所長まで上り詰めて、業界変革の先駆者になって欲しいと期待をしています。
-今後について-
改修工事分野においてはかなり強みを持っているので、この分野でエリアを広げていきます。社内では環東京湾構想と呼んでいるのですが、神奈川、埼玉に広く展開をする予定です。
また、6年前から中国の大連にも事業所を構えているのですが、海外事業においては新しい分野の事業の芽もでてきているので、こちらもさらに伸ばしていきます。
社名 | 株式会社ストラクス |
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事業内容 | ■建築物の改修工事に関わる施工管理 集合住宅の外壁塗り替え及び屋上防水等 戸建住宅のリニューアル工事 事務所及び店舗の改装 建物調査、診断 ■建築物の新築工事に関わる施工管理 戸建住宅の新築工事 集合住宅の新築工事 |
代表者 | 代表取締役 山本 克己 |
創業・設立 | 1995年9月20日 |
住所 | 千葉県千葉市美浜区高洲3-10-1 サンフラワービレッジ稲毛海岸4F |
URL | http://www.stracks.co.jp |
採用状況 | 新卒採用 |