株式会社ネクスト 代表取締役 吉田 智
センチュリー21の加盟店として不動産売買仲介からスタートした当社ですが、今は、デザイン性やコンセプトが好評なZERO-CUBEやUNITE HOUSEなどを主軸にハウスビルダーとしての地位を確立しています。当社の扱う住宅は、一般的なハード面やスペックばかりをうたった住宅とは一線を引き、住む人に暮らす楽しみやライフスタイルを提案する家として認知されていて、年間70棟ほどの建築に携わっています。 |
思い切って事業転換したら人が辞めなくなった
-事業内容と会社の現状について-
当社は平成11年に私が、それまで勤めていた不動産会社から独立して作った会社です。不動産売買の仲介を中心に経営をしてきたのですが、5年くらい前からLIFE LABEL(ライフレーベル)というブランドのデザイン住宅を取り扱い、自社で建物を建てる建築会社にシフトしました。今ではライフスタイルまで提案するユニークな建築会社として認知いただいています。
自分で言うのもなんですが、会社を立ち上げた当初はものすごい勢いで成長していました。設立3年目には、年間230件くらいの売買仲介実績を上げるようになっていたので、おそらく地域の不動産会社ではトップだったと思います。
当時はまだ今ほどインターネットが普及しておらず、不動産会社が持っている「情報力」が武器でした。会社が成長するほど情報力が高まり、それによりさらにお客様が集まり、社員も集まるといったよいサイクルが回っていました。ただ、勢いがある時はよいですが、いつまでも良い状態が続くわけがありません。インターネットが普及し、お客様が自分で「情報」を仕入れられるようになってくる中で、少しずつ事業の先行きが心配になってきたんですね。
そこで、会社をこの先どうしていこうかと必死で考えた末、単なる「情報」ではなく、自社にしかない「知識」を武器にできる会社に変化しようと考えました。もともと販売する力には自信があったので、自社で商品を作ろう、家を作ろうと決意したのです。
私が47歳の時です。それまで図面を書いたことすらありませんでしたので、仕事をしながら日建学院に通い、建築のことを本気で勉強し始めました。今は建築士の資格も取得しましたが、当時は私の人生の中で一番勉強をしましたね。
そして、ZERO-CUBEを始めとしたデザイン住宅を扱うLIFE LABELというブランドに出会ったことで、建築会社として再スタートを切ることができたのです。
建築会社にシフトしたことで一番変わったのは、人が辞めなくなったことです。売買仲介をメインで行っていた頃は、会社の勢いがあったこともあり、人を集めるのには苦労しなかったのですが、入社した人材が長く続くというわけではありませんでした。採用はできるものの、それなりに出入りは激しかったですし、会社の成長が止まってきた頃には、人が一気に辞めていくといったこともありました。それが、自社で建物を建てるようになってからはほとんど社員が辞めなくなりましたね。
社員の働き方からライフスタイルまで変えたZERO-CUBE
-社風や組織風土について-
人が辞めなくなった一番の理由は、社員の仕事に対するモチベーションが大きく変わったことだと思います。商品に対する強い思い入れを持って入社してくる社員が増えたことに加え、ZERO-CUBEという商品のコンセプトも大きく影響しています。
この商品のコンセプトには住むことを楽しむといったライフスタイルの提案も含まれているのですが、ZERO-CUBEのオーナーには、人生を楽しんでいる人がとても多い。ZERO-CUBER(ゼロキューバー)という言葉があるくらい、ワクワクするようなライフスタイルを謳歌し、体験や価値観をシェアするオーナーさんが多いのですが、そこに触れることで社員も感化されてきました。社員も仕事や人生を楽しむというように変わってきたのです。
会社の雰囲気もどんどん明るく自由になり、私も5年前まではスーツにネクタイで仕事をしていましたが、今ではほぼ毎日ジーンズですよ(笑)。正直言って、褒められるほど労働環境がいいわけではないですが、社内の雰囲気は、営業活動に追われて残業していた時代とは全く違います。お客様にどうやって喜んでもらうかを楽しみながら追求する仕事に時間を割くようになったので、感じるやりがいが全く違うんですね。
トップセールスを育てなくても良い仕組み
また、組織風土という点では、私自身の教育や組織に対する考え方も大きく変わりました。昔は毎日のようにロールプレイングをして、提案する力、営業力を磨いていましたが、今はほとんどやらなくなりました。当時関わっていた社員がしっかり育ってくれたこともありますが、それ以上に仕組みを変えたのです。教育の考え方を、「トップセールスを育てよう」ということから、どちらかというと「皆が平均的に売れる状態、コミュニケーション力や営業センスがあまりなくても売れる環境を作ろう」ということにシフトしたのです。
そのために当社が徹底的に工夫しているのが集客と販売方法です。この2つを徹底的に強化することで、トップセールスではなくても売れる仕組みを実現しています。
集客に関しては、今、当社では4棟のモデルハウスを建てているのですが、このモデルハウス見たさに遠方からもお客様がやってきてくれます。結果、週末には開店前からお客様が外にならび、一日中商談スペースが埋まっている状態が維持できています。
また、販売方法に関しては、例えば、お客様に将来住む家の居住空間をイメージしてもらうために最先端のCADを使って、VR体験を提供しています。設計士のイメージとお客様のイメージが映像として共有できるので非常に評判がいいですね。たとえ営業がうまく話せないとしても、体験を通じて商品の価値を感じてもらうことができる環境が作れています。
自分たちでやる、先駆けてやるのが当社の強み
集客の工夫、販売方法の工夫、いずれも他の建築会社や加盟店に先駆けて取り組んできたわけですが、先進的な取組みにチャレンジするのが当社の強みだと思います。
私自身、そういった工夫をするのが好きで、ワープロが普及していない時代に自費でワープロを購入してパンフレットを作成したり、パソコンが普及していない時代にバカ高いノートパソコンを買って、お客様の目の前で資金計画を作成したりしてきました。他の営業マンは電卓を使って計算していた時代ですから、お客様からの信用は雲泥の差です。それがトップセールスになれた秘訣なわけですが、何でも自分でチャレンジしたり、新しい工夫をすることは今でも続けています。
実は、今も、当社のリスティング広告はほとんど自分でやっています。リスティング広告が出始めた頃から自分で試行錯誤しながらノウハウをためてきたから外注するより自分の方が詳しいんです。また、先程のVR用のパース制作も3DCADを使って作るスピードは社内では誰よりも早いと自負しています。死ぬほど図面を作ってスキルを磨いてきましたから。
そうやって自分でチャレンジし、それを見せてきたことが社員にも伝わり、なんでも自分たちでやるという社風ができています。今の社員は、自分で勉強したり、お客様のために自分で仕事を広げていくメンバーばかりです。お客様への空間提案をするために設計を必死で勉強し、営業から設計に職種を変更した社員もいます。また、デザインの分野に関しても、当社は外注せず、社内にデザイナーを抱え、自分たちで行っています。どんどん工夫してリニューアルしていくことで、速いスピードでノウハウが溜まって行くのです。
私達は当たり前のこととしてやっていますが、建築会社としては異質だと言われることもあります。例えば、先程モデルハウスを4棟持っているという話をしましたが、立地がかなり特殊です。ハウスメーカーの出身者がモデルハウスを作ろうとすると普通は一等地に作るようですが、当社は敢えて立地がものすごく悪い安い土地に作りました。結果、爆発的な集客を実現しています。建築会社としてスタートしたのではなく、不動産会社から建築会社に転身したことから、業界の常識的なものに振り回されず、建築会社としての固定概念がないことも強みなのかもしれませんね。
-今後について-
自分で何でもやるというスタンスで、社員が仕事の範囲を広げることで会社が成長してきたわけですが、少しずつステージが変わってきていることも実感しています。例えば、営業が設計まで守備範囲を広げることはそれはそれでよかったのですが、非効率という面もあります。個人の販売数が増えると、販売後にお客様との打合せで営業活動がストップしまうわけです。ですから、販売後は設計士に仕事を任せるなど、少しずつ分業をし始めました。結果、さらに業績が伸びるという状況になりました。組織としての生産性を上げることでまだまだ伸ばせると感じています。
まずは、年間100棟を目標に、将来的にはライフレーベルのブランドで大規模分譲などを行えるビルダーを目指しています。
聞き手:株式会社千葉キャリ 種村(写真右)
社名 | 株式会社ネクスト |
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事業内容 | 不動産売買・仲介・住宅建築・設計・住宅ローン業務・引越紹介サービス・建築リフォーム |
代表者 | 代表取締役 吉田 智 |
創業・設立 | 2000年4月 |
住所 | 千葉県船橋市本町6-21-18-1F |
URL | https://www.next-at.co.jp/ |
採用状況 | 中途採用 |
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